高卒でも介護士に転職することは可能なのでしょうか?結論から言うと「十分可能」です。
介護系で唯一の国家資格である「介護福祉士」の取得条件に学歴はありませんので、義務教育を完了していれば誰でも取得に向けて挑戦できます。
この記事では、高卒からの介護福祉士資格の取得方法や、高卒と大卒の待遇差、さらに通常の介護士と資格を持った介護福祉士の年収差まで詳しく解説します。
高卒でも介護職になれる理由
介護職は学歴よりも介護職員初任者研修や介護福祉士などの専門資格の有無が重要視されます。
これらの資格は、大卒でなくても取得できるので、高卒でも十分介護職に挑戦できます。
また、介護業務には無資格でもできる仕事も多く、未経験者や学歴に自信がない人でも介護職員を目指して全く問題ありません。
介護業界は若い人材を求めており、特に正社員で働く場合「介護業界で長く働く意思があると」思われ歓迎されるでしょう。
高齢化社会が叫ばれる昨今、介護職の需要は今後ますます上がって行くので、早い段階で働きながらスキルアップやキャリアアップをして、他者と差を付けることは有益な選択肢と言えます。
介護職に向いている人
まずは、どのような人が介護職に向いているのか、どのような資質が必要とされるのかを紹介します。
結論から言うと、介護職に向いている人は、「健康で体力に自信があり」、「精神面が強く」、「人の気持ちを察することができる人」ということが言えます。
これらは、社会人として必要な資質の最大公約数とも言えますが、介護の世界では特に必要となるケースが多いです。
- 介護職は力仕事が多く、不定期なシフト勤務もあるため、体力に自信がある人がより活躍できます。
- 利用者から辛辣な言葉を受けることもあるため、精神的な強さを試されるシーンが多々あります。
- 介護の仕事は利用者の方に寄り添うことが重要であり、人の気持ちを察することができる人が向いています。
さらに付け加えると、実務経験でスキルを身につけることができるため、向上心があり、常に学ぶ姿勢を持って仕事に取り組める人は成長することができます。
介護資格の種類
ここでは、代表的な介護資格を3つ紹介します。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、介護の基礎知識や技術を身につけるための研修です。介護職員として働くための入門的な資格で、介護サービスを提供する施設で働く場合にはこの資格を取得が必須となります。研修期間は約3ヶ月程度で、講義や実習を通じて、介護職員としての基本的な技術や知識、倫理観などを学びます。
介護職員実務者研修
介護職員実務者研修は、介護の実践的な技術を身につけるための研修です。介護職員初任者研修が必須でとなり、介護実践に必要な身体介護や生活援助、食事・栄養管理、レクリエーションなど、様々な介護の現場で必要なスキルや知識を学びます。また、介護の倫理や心理学、法律などの基礎知識も必要となり、この研修を修了することで、より高度な介護福祉士の受験資格を得ることができます。
介護福祉士
介護福祉士は、介護の国家資格であり、実務経験を積んだ上で実務者研修を修了した人が受験資格を得ます。介護の専門知識と技術を持ち、ホームヘルパーや施設の介護士の指導や、医師・看護師との連携が必要な場面で重要視され、今後ますます需要が高まる資格と言えます。資格試は、「義務教育を卒業した者」なので、一定の条件を満たせば誰でも受験可能で学歴による有利不利はありません。次の章では、この介護福祉士の具体的な取得方法を解説します。
介護福祉士になる方法
ここでは、今後ますます需要が増す「介護福祉士」になる方法を2つ紹介します。
実務経験を積む方法
介護福祉士になるには、実務者研修の資格を取得し、介護の実務経験を3年以上積むことで介護福祉士の試験の受験資格を得ることができます。現場で経験を積みながら実務者研修を受け、実務経験が3年に達したところで国家試験に挑戦することが一般的な流れとなっています。
養成学校に通う方法
3年間の実務経験が無くても、介護福祉養成施設として指定を受けた学校を卒業すれば、介護福祉士の受験資格を得ることができます。
「介護福祉士養成施設として指定を受けた学校」とは介護福祉を学ぶ専門のカリキュラムがある、4年制大学・短大・専門学校等のことで、ここを卒業することで、3年の実務経験と同等の扱いを受けることができます。
実務経験は3年を必要としますが、この養成学校の場合は短大だと2年間で受験資格が得られるので、1年間の時短効果があります。
しかし、実務経験は給料を得ながら受験資格も得られるのに対して、養成学校の場合は300万~400万の費用がかかるので、どちらか選択する場合はその点を注意しましょう。
また、養成学校卒業=介護福祉士資格取得では無く、あくまでも受験資格の取得なので、養成学校を卒業しても、介護福祉士試験は合格する必要があります。
大卒と高卒で待遇に差があるのか?
「大卒と高卒の待遇には差は無い」と思って問題ありません。
介護士の仕事において、学歴はほとんど重要視されず、待遇に影響するのは資格や経験年数です。
介護福祉士資格を持っていると、採用基準や待遇面で優遇されることが多く、介護士を目指す人にとって「介護福祉士の資格」は絶大な武器となります。
介護士と介護福祉士の所得差は?
学歴が優遇されないのはわかりましたが、それでは資格の有無で年収はどれほど違うのでしょうか?
厚生労働省のデータを元に見てみます。
保有資格 平均給与(月) 想定年収
介護福祉士 329,250円 3,951,000円
実務者研修 303,230円 3,638,760円
初任者研修 301,210円 3,614,520円
無資格 275,920円 3,311,040円
出典:厚生労働書「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/20/index.html
介護福祉士の有資格者と、無資格者では、年収約60万、月収約5万の乖離があることがわかります。養成学校が300万~400万なので、5年から7年で回収できる計算となります。
まとめ
今回は、高卒でも介護職に転職することができるかどうかを解説しました。
介護職に関して学歴は全くと言っていいほど関係無く、むしろ介護資格の有無や、実務経験年数が重視される傾向があります。
介護の関する資格では、「介護福祉士」は唯一の国家試験で、今後ますます需要が増し、転職する場合でも絶大な武器になり得ます。
有資格と無資格では所得でも年間60万以上の乖離があることから、高卒でも介護職に転職することは全く問題ありませんが、将来の計画性は必要と言えるでしょう。